介護職の離職率は本当に高い?最新データが示す「意外な真実」と退職理由

介護業界に対して「激務薄給で、次々と人が辞めていく」というネガティブな先入観を持っていませんか?
メディアなどで取り上げられる一部の過酷な労働環境がクローズアップされがちですが、業界全体を見渡すと、状況は確実に好転しています。

まずは、客観的な数字をもとに、現在の介護業界の「定着率」について正しく理解しましょう。

最新データで判明!介護職の離職率は「全産業平均より低い」

最新データで判明!介護職の離職率は「全産業平均より低い」

「介護職は他業種に比べて人が辞めやすい」というのは、今や過去の話になりつつあります。驚くべき最新のデータを見てみましょう。

離職率は過去最低水準の「13.1%」へ

公益財団法人介護労働安定センターが公表した「令和5年度 介護労働実態調査」によると、介護職員の離職率は**13.1%**でした。
これは前年度(14.3%)からさらに低下しており、調査開始以来、過去最低水準に近い数字となっています。

全産業平均と比較しても安定している

厚生労働省の「雇用動向調査」によると、全産業の平均離職率は約15.0%前後で推移しています。「宿泊業・飲食サービス業(約26%)」や「生活関連サービス業(約19%)」などと比較すると、現在の介護職の離職率は、全産業平均よりも低く、むしろ安定して働き続けられる職種であると言えます。

なぜ離職率が下がっているのか?

この背景には、国を挙げての処遇改善(給与アップ)施策や、働き方改革による残業削減、ICT・介護ロボット導入による業務負担の軽減などが進んでいることがあります。
「介護=ブラック」というイメージを払拭しようと、多くの事業所が労働環境の改善に本気で取り組んだ結果が、数字として表れているのです。

 

介護職を辞める本当の理由ランキング

介護職を辞める本当の理由ランキング

離職率が下がっているとはいえ、それでも辞める人はいます。では、退職を選んだ介護職員は、具体的にどのような理由で決断したのでしょうか。
建前の「一身上の都合」の裏にある、現場のリアルな声(本音)をランキング形式で見ていきます。

1位:職場の「人間関係」に疲れた

どの業界でも退職理由の上位に入りますが、介護職においては特に深刻かつ圧倒的な1位です。
介護はチームケアであり、一人では完結しない仕事です。そのため、スタッフ間の連携がうまくいかないと、業務そのものが回らなくなります。

  • 上司・施設長との不和: 現場の意見を聞いてくれない、えこひいきがある。

  • 同僚との派閥争い: 閉鎖的な環境でのお局様の存在、陰口、いじめ。

  • 他職種との対立: 看護師やケアマネジャーとの意見の食い違い。

身体的な疲れよりも、「誰かと働くことのストレス」が限界を超えた時に、人は退職を選びます。

2位:法人や施設の「理念・運営方針」への不満

「利用者様に寄り添ったケアがしたい」という熱い想いを持って入職した人ほど、陥りやすい理由です。

  • 利益優先で、流れ作業のようなケアを強いられる。

  • 人手不足を放置し、安全配慮が欠けている。

  • 経営陣が現場の実情を全く理解していない。

自分の理想とする介護と、施設が求める業務のギャップに苦しみ、「ここでは自分のやりたい介護ができない」と見切りをつけるケースです。これはある意味、プロ意識が高いからこその悩みとも言えます。

3位:収入面の不安

処遇改善加算によって給与は上昇傾向にありますが、それでも「仕事の責任の重さやハードさに見合っていない」と感じる人は少なくありません。
特に、結婚や子育てなどのライフイベントを迎えた際に、将来の家計に不安を感じて異業種へ転職する男性職員なども見られます。

 

「良い離職」と「悪い離職」がある

「良い離職」と「悪い離職」がある

離職率の数字を見る際に注意したいのが、辞めること全てがネガティブなわけではないということです。

キャリアアップのための前向きな離職

「介護福祉士やケアマネジャーの資格を取ったので、より専門性を活かせる職場へ移る」「訪問介護から施設介護へ、経験の幅を広げるために転職する」といったケースです。
介護業界は資格や経験が評価されやすいため、自分の市場価値を高めるための転職はポジティブな行動と言えます。

職場環境による後ろ向きな離職

一方で、「パワハラを受けた」「残業代が出ない」「心身の健康を損なった」という理由での退職は、避けるべき事態です。こうした離職が多い職場はいわゆる「ブラック施設」であり、入職前に見極める必要があります。

 

離職率が低い「ホワイトな職場」を見極めるポイント

求人を探す際、離職率が低く、長く働ける職場を見つけるにはどこに注目すればよいでしょうか。

1. 常に求人を出していないかチェックする

いつ見ても同じ求人が出ている、あるいは大量募集を繰り返している施設は要注意です。「採用してもすぐに人が辞めてしまう(定着しない)」という負のサイクルに陥っている可能性があります。

2. 「職場見学」でスタッフの表情を見る

面接の前に、必ず職場見学を申し込みましょう。

  • スタッフ同士が笑顔で挨拶しているか?

  • ピリピリした空気感はないか?

  • 利用者様に対して丁寧な言葉遣いをしているか?
    現場の空気は嘘をつきません。すれ違うスタッフが疲弊していたり、挨拶がなかったりする場合は、人間関係や労働環境に問題があるサインです。

3. 教育・研修制度の有無

離職率が低い職場は、新人教育に力を入れています。「OJT(実地研修)あり」「資格取得支援制度あり」など、人を育てようとする姿勢が見える職場は、職員を大切にする傾向があります。「見て覚えろ」という放置型の職場は、早期離職のリスクが高いです。

 

まとめ

介護職の離職率は、世間のイメージとは裏腹に、全産業平均よりも低い水準まで改善されています。多くの施設が「働きやすい環境づくり」に努力している証拠です。

しかし、施設によって環境に大きな差があるのも事実です。「人間関係」や「理念の不一致」で苦しまないためには、離職率の数字だけでなく、見学などを通して「自分に合った職場」を慎重に選ぶことが大切です。

もし今、あなたが今の職場で限界を感じているなら、それはあなたのせいではなく、環境のせいかもしれません。介護業界全体で見れば、あなたを必要とし、大切にしてくれるホワイトな職場は必ず存在します。広い視野を持って、自分らしく働ける場所を見つけてください。